宇佐美百合子さんの本を最初に読んだのは、たしか中学生の時。
中学の担任の先生が、宇佐美さんのエッセイを朗読してくれました。
国語の授業とかではなく、朝の会とかだったと思います。
その当時はまだ先生はこういう本が好きなんだなって思ったくらいで、どの本だったのかも覚えていないんですけど、記憶の片隅に確かに残っていました。

それから、大学生になって、初めて彼氏というものができまして。
もう、自分の価値観と合わないところばっかり目について、「なんで私の考えとこんなに違うんだろう?」ってすごく悩みました。
違って当たり前なのに、恋愛初心者の私には、相手の気持ちなんて微塵もわからなかった(笑)
で、このまま付き合っていていいんだろうか?他にもっと自分に合う人がいるんじゃないか?
なんて、自己ちゅう、極まりない考えが浮かんでいきました。

その頃ちょっとした喧嘩をして、「もう無理!」って思っていた時、本屋さんで手に取ったのが宇佐美さんの『恋にがんばりすぎてしまう、あなたへ』という本でした。

この本には、人を愛すること、その真の意味と素晴らしさがつづられていました。
大事なのは、あなたが“愛の人”になろうとする意志を持つづけること。その意志があって初めて、ふたりのあいだに愛を育てることができるのです。
“愛の人”とは自分の欲を捨て、ただただ相手を愛することのできる人を言います。
恋愛中のあなた。迷わず、惜しまず、愛をさし出して。
自分の生き方として「愛を実践する」ことを心がけてください。
これは、「会いたい」「さみしい」といった自然にわきあがってくる感情を、相手に伝えてはダメだということではありません。
気持ちを素直に伝えることは大切です。ただ、このときに相手がそれをよろこんで受けとめられない状態だったら、あきらめましょう。いつでも自分の欲を捨てられるのが、愛だから。
末っ子で甘えん坊の私は、この本を読むまで、人に何かをしてもらう、自分の思いを通すってことが当たり前になっていて、自分が人を愛して、何かを与えるっていう感覚がからっきしなかったことに気づかされました。
20歳そこそこにもなって、「愛」を全く理解してなかったんですよ笑
本当に恥ずかしいというか、お子様というか。情けない。

でも、この本に教えてもらって、「ちゃんと彼を愛したい!」って思えたんですよね。
だから、ほんの少し、彼との向き合い方を変えることができました。
結局、その人とは別れちゃうんですけど、私の恋愛のファーストステップとして、彼とは貴重な時間を過ごせたなと今でも思います。


それからも宇佐美さんの本を何冊か読みました。
アルバイト先の先輩に不真面目な奴だと勘違いされて(私は真面目な人間であると自負しています!)辛かったとき、
就活で自分の価値なんてないと言われたような気がして落ち込んだとき、
家族と折り合いがつかなくて居場所がなかったとき、
宇佐美さんの本に励まされていました。
振り返ると、かなりお世話になってますね。


時は過ぎて、社会人になってしばらくして。
(私はアルバイトみたいなもんだったんですけど)、先輩で過酷労働している女の人がいました。
仕事量が毎日すごくて、1人でできる仕事量じゃないなって思うくらい、毎日毎日夜遅くまで頑張っていらして。
その女性、30歳くらいで未婚だったんですけど、仕事を頑張りたいって気持ちと結婚して家庭を持ちたいっていう気持ちで揺れ動いている姿が、なんだか見てて切なかったんです。
苦しそうだなと正直思いました。

でも、5つ以上年下の私は、彼女に寄り添える立ち位置じゃないなと思っちゃったんですよね。
年下で、非正規で、仕事も彼女に比べたら全然で。そんな奴に励まされたくないじゃないですか。

「私はあなたを尊敬していて、頑張っている姿ちゃんと見てますから!」
そういう言葉を伝えればよかったんだと今は思うんですけど、当時はできなくて。

それで考えたんですよね。
そうだ!本を贈ろう!って。

いろいろ本屋さんで悩んだあげく、これだ!と思ったのが、宇佐美さん『みんな、ひとりぼっちじゃないんだよ』でした。

この本、どのページにも弱った心を包み込んでくれるような素敵な言葉ばかりなんです。
でも、買った後で、このタイトル、『みんな、ひとりぼっちじゃないんだよ』が上から目線の言葉に感じないかなって考え出しちゃったんです。
年上で人生経験豊富な人から贈られたら純粋に喜んでもらえるけど、私がプレゼントしたら、「私のことひとりぼっちだと思ってんの?」って不快な気持ちにさせるんじゃないかなって。
もう、ずるずると考えることがネガティブになっちゃって、結局、この本は渡せませんでした。

この本、まだ買った時のブックカバーもそのままに、私の手元に残ってます。
家の本棚にあるこの本を見ると、今でも彼女のことを思い出します。
きっとこの本は、あの人に贈るべきものだったのにな、という後悔の念と一緒に。

あの人にはもう贈ることはできないれないけど、彼女と同じように、悩みながらも一生懸命に頑張る人に、いつか贈りたいなと思います。



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