日本の経済事情を網羅的に解説してくれる、ちきりんさんも一押しの経済講義!

人気経済ニュース番組WBSのコメンテーターとしても有名なフェルドマンさん。
日本経済に精通するエコノミストとして活躍されている博士が出された本書は、ちきりんさんのオススメということで私も購入。


世界経済と日本経済の現状、アベノミクスの概要と成果、エネルギー問題、労働市場、少子高齢化と福祉・・・etc
日本の未来を語る上で欠かせない重要課題について、フェルドマンさんの鋭いご意見が書かれています。

以下、重要なポイントをまとめます。
水や石油、食べ物や環境など、希少資源や気象商品をどうやって公正配分し、どうやって希少性を解消するか。それを考えるのが、経済学です。争いを減らして世界を平和にし、そこに暮らす一人ひとりの人たちを幸せにするための学問です。

日本の農業は、作付け面積1平方キロ当たりの輸出額は1100万円ぐらいです。ところがオランダは、同じ面積でおよそ10億円の輸出額を誇っているのです。
(中略)日本の農業は、少なくともオランダと同じレベルまでは成長できる可能性を秘めているわけです。

アベノミクスの内容は、実は非常にオーソドックスな成長経済学です。国債発行と故郷事業、移転支出でマネーを民間に供給するケインジアン型の政策と、中央銀行が量的緩和によってマネーを供給するマネタリスト型の政策を同時に実行し、そこへソロー型経済戦略を組み合わせるようになっています。

まず知っておくべきことは、日本のエネルギー価格はアメリカに比べて断然高いということ。産業用の天然ガスですが、アメリカの7倍以上、家庭用で4倍です。さらに、電気代はそれぞれ2.7倍、2.0倍です。つまり日本の産業の競争力や家計には、あらかじめハンデがあるわけです。

面白いのが時給の動きです。2014年4月に消費税が上がった影響で、4-6月期のGDPは約7%マイナスでした。その後、7-9月期もマイナスが続き、その次の4半期にようやく若干のプラスの転じました。ところが時給は、あれだけGDPが伸び悩んだにもかかわらず、伸びが加速したのです。この背景に、労働者不足があることは明らかです。

研究開発費には即効性があるのか、対GDP比率と成長率の間に統計的な説明力があります。つまり、研究開発費に多くのお金(民間のお金も政府のお金も)をかけた国が、より高い生産性を成し遂げてきた事実があるのです。

なぜ既得権益が力を持つかというと、結局は選挙制度に帰結します。選挙制度は、既得権益を元にして政治基盤を築いた人たちによって作られているからです。つまり選挙制度こそ、大半の問題の根源。歳出削減と財政改革ができない理由も同じです。

投票は権利ではなく義務だという考え方を採択し、理由がない限り選挙へ行かない人から罰金を取るのです。2013年のオーストラリアの総選挙の投票率は何と、93%でした。

燃料として発電所に入るエネルギーは、実際に電力になると平均して37.2%しかありません。なんと62.8%も消失するのです。実にもったいない。ところがこの62.8%という消失率は、世界一優秀な数字です。(中略)つまり発電のエネルギー効率事態が、著しく低いのだということがわかります。

福島第一原発の事故処理には、20兆円ぐらいかかっています。1970年以後、福島の事故までの国内原発電量は、およそ7兆kWh(キロワットアワー)でした。(中略)すなわち、1回だけの事故コストを1970年以後に利用されたすべての原発の電力量で割ると1kWH当たり約3円のコストです。

未来学的な観点から考えれば、(中略)原油が安いことは、世界全体にとっても、日本にとってもよくない。なぜかといいますと、石油依存の現状から脱出できなくなるからです。

日本のエネルギー政策を強くするには、(い)効果的な金額と配分、(ろ)世界的な協力、(は)社会保障費と縦割り行政を減らすこと。

現在の税制にある配偶者控除について、私は廃止すべきだと思っています。これがあるために「私は働かないほうが得」というのでは、大切な機会を失います。女性を優遇するようでいて、実は逆に、労働への参加を阻み、能力向上も阻む要因になっています。

高齢者たちは、いまの水準の福祉をもらう権利が本当にあるのか、考え直す必要があります。若者を犠牲にしてまで、もらう権利があるのか。

地方再生の基礎は、徹底した選挙改革、廃県置州、財政の規律、一票の格差の是正、若者の投票率の上昇です。

“Be brave, be determined, overcome the odds, it can be done”
「断固たる決意、勇気を持つこと、分が悪くてもがんばること、できないことはないのだ」
(スティーヴン・ホーキング博士)
※読みやすさのために、引用の数字は漢数字からアラビア数字に変更してあります。

難解な経済指標や政策が、非常にわかりやすくまとめられていると思います。
日本経済について学びたいという人は必読です!