今日ご紹介する『頭は「本の読み方」で磨かれる』は、茂木健一郎さんの独自の読書論を繰り広げながら、「本の選び方」「味わい方」「実践へのつなげ方」をわかりやすく教えてくれています。

多読や乱読を進めている一方で、1日10ページからでも読書の習慣を身に付けようという懐の深い語り口は、普段本を読まない人にとっても素直に受け止められる言葉ばかり。

本書のさらなる魅力は、茂木さんのオススメ本の紹介。普段なかなか手に取らない古典と呼ばれる名作の数々を紹介しています。
 
本書を読むだけでも、それらが「名作」と言われる所以がわかるばずです。


以下に、各章のまとめと個人的な重要だと思った点をいくつか挙げます。

1のまとめ
・「知性の地層」をつくるのは、インターネットではなく、本である。
・使う言葉に”人間性”が表れる。言葉を磨くことを意識して。
・脳を鍛えるには、時間をかけて古典を1冊読み切ることから。 他

2のまとめ
・「優等生」より「好きなことにのめり込める人」が強い。
・読書には「一発で人生を変える効果」と「じわじわ効く効果」がある。
・悩みや葛藤を捨てるな。むしろ自分の土台を揺るがす「あやうさ」を大切に 他

3のまとめ
・古典は「現代のわたしたち」に置き換えながら読む。
・いい本とは、「話のネタにしたくなる本」である。
・本を読んで「共感力」と「雑談力」を身に付ければ、「幸福の土台」ができる。

4のまつめ
・頭のいい人ほど、ジャンルを無視して「乱読」している。
・1日たった10ページ!心理的な「ハードル」を下げて、読書を習慣にする。
・人生で本当に大切な1冊「カノン」が見つければいい。 他

「本なんて必要ない」と思っている人は、いずれ人生の深みや喜びに差がついて、絶対後悔することになる。

「本を読む」ということは、「自分の経験を増やす」ことなのです。
文章を読むということは、自分とは違った人間の考え方や人生を追体験することです。

知性というのは「どれだけたくさんの人の立場で考えられるか」ということだと僕は思います。それは「読む」ことによって養われる力なのであり、知的活動の現場で、実際に重要視されているのが、積極的な読書なのです。

「薬と毒は、紙一重」と言うけれど、本も、本当は毒になるかもしれない。

どんなネタがいい仕事につながるかわからないところが、人間のおもしろいところなのです。本の「雑食」なしで、セレンディピティ(偶然の幸福)もありません。

絶対的に正しい、それさえ知っておけば大丈夫、というような知識はありません。
ぼくたちにできるのは、著者が力を尽くして書いた文章にできるだけ多く接し、自分の中に新しい何かを育てていくこと。それが読み手の実践すべき「学び」だと思います。

たった一つのことをどう言うかで、相手の心を大きく動かすことができる。
文章の持つ力をないがしろにする人は、実はとても損をしているのです。

各章のまとめにエッセンスが短くまとめられているので、そこだけさらっと読み返すことで全体をおさらいすることもできます。

読む人を問わない懐の深い良書でした!
幅広い層の人に読んでもらいたいです。