21世紀を生き抜くプロフェッショナルの定義。

72歳になっても世界で活躍されている言わずと知れた、経営コンサルタントの著者。
以前から著書を読んでみたいと思っていたのですが、ハードルが高くて手を出せずにいました。
たまたま古本屋さんで安く売っていたので、買って読んだのですが、想像していたよりもはるかに読みやすく面白かったです。

本書はプロフェッショナルを目指す人に向けて、プロフェッショナルとはどのような人物か、今後の21世紀を生き抜くにはどのような考え方、生き方をするべきか、を教えてくれています。

以下、ポイントをまとめました。

ハーバード・ビジネススクールのセオドア・レビット教授は「企業は商品やサービスを通じて、あなたを一〇〇パーセント満足させますという『誓約』を販売しており、顧客はこの『誓約』を購入している」と喝破しています。

半世紀以上も前から、B2Bの世界では「顧客の顧客」について考えることの重要性が指摘されてきました。

「権限が増えると、顧客にどのような価値が提供できるようになるのか」
「新しい権限を活用できるだけの能力とスキルが身についているのか」
「新しい権限を使いこなせるだけの能力やスキルに乏しい場合、どうするのか」

あなたが成長するかどうかなど、実のところ、顧客にすれば、どうでもよいことなのです。あなたにすれば、失敗は成長の糧でしょうが、顧客にすれば、たまったものではありません。

顧客といっても「触れる顧客」ではないかもしれません。いまの顧客も変質するかもしれません。いまの顧客は溶解してしまい、想像もつかなかったような人々、企業、不特定多数が顧客になるかもしれません。プロフェッショナルに要求される「顧客」への理解、というのは、そのレベルの理解なのです。

常識を疑うとは、無考えに抗うことではありません。意志的に反論を仮説し、これを繰り返し検証する作業です。つまり、二〇世紀の学習を真摯にアンラーンするという、破壊的かつきわめて創造的なプロセスなのです。反論を導くには、常識についてもれなく分析することはもちろん、その反証についても等しく分析することが求められます。

ユダヤ社会では場の議論を深めるために、メンバーの一人があえて盾を突きます。「デビルズ・アドボケート」(悪魔の使徒)と呼ばれるものです。議論の方向性や結論の大筋には賛同しながらも、あえて反論し、課題とその解決策を結ぶ道筋に、矛盾や不整合が見落とされていないかを検証します。さらに、より優れた解を導き出すために異なる視点から反論し、議論の前提に疑義を呈します。

二一世紀型のビジネスモデルに求められるのは、グローバル・スタンダードへ段階的に育て上げるのではなく、グローバル・スタンダードそのものを生み出すことです。そのうえでスプリンクラー型の事業展開を構想し、世界同時性を追求しなければなりません。

ウェルチは、真実を知るには「質問攻めにすることだ。座り込んで一万八〇〇〇もの質問をし、それでも腰を上げずに粘ったものだ」と述懐しています。

説く力は話術ではありません。発言の根拠となる事実を効果的に提示できるか否かが問われます。結論としての主張が相手のそれとは一八〇度逆であっても、確かな根拠がその組み合わせから新しい視点を提供できれば、受容性(相手の主張に耳を傾けてみようという気持ちのゆとり)を引き出すことができるはずです。

10年ほど前に出版された本なので、事例が古いのが難点。
しかし、当時大前さんが予見していた事がどれほど的中しているか、あるいは、外れているのかを照らし合わせてみるのも面白い読み方だと思います。